冬の寮、少年たちは何を思うか 『ネバーランド』 恩田陸
少年には、少年の世界がある
話題の作家 恩田陸
少し前ですが、今年の本屋大賞が発表されましたね。
大賞は恩田陸さんの『蜂蜜と遠雷』
史上初、直木賞とのダブル受賞です。
恩田陸さんは、『夜のピクニック』でも本屋大賞に輝いています。
まさしく、話題の作家。読まなきゃ損です!
『ネバーランド』 恩田陸
舞台は男子校。
登場人物はその高校の男子高校生たちです。
季節は冬。終業式が終わり、寮の生徒たちは年末年始を家族と過ごす為それぞれの実家へと帰ります。
菱川美国(よしくに)、篠原寛司、依田光浩の3人はそれぞれの事情から寮への居残りを決める。そこに、実家暮らしだが親が遠くに赴任しており実質独り暮らしの瀬戸統(おさむ)が加わり、4人だけの自由で孤独な休暇が始まる。
この時点で、おもしろくなりそうな匂いがプンプンしませんか。
クリスマスイブの晩、酔っ払った(高校生なのに)彼らはゲームに負けた者が、自分の秘密を暴露する「告白ゲーム」を始める。
それぞれの少年たちの過去、トラウマ、悩みがぶつかり合う青春ものがたりです。
はっきりとしたキャラ設定
読んでいて感動したのは、それぞれの登場人物のキャラ設定がかっちりとしていること。
キャラの性格が変にブレないのはもちろんのこと、心を開いたり、弱味が露見したときに見せる姿が、生きている人間のよう。キャラ一人一人に深みがあり、自然と親近感が湧いてしまいます。
菱川美国
主人公。
周囲の強いところ、凄いところに注目して、劣等感を抱いている。
他の3人の秘密を知り、弱さを知り、自分の過去と未来を見つめ直す。
篠原寛司
明るく、面倒見の良い性格。空気を読むのが得意で、ムードメーカー。常に周りを笑顔にし、仲間から一目置かれている。
そんな彼にも、向き合わなければならない問題がある。
依田光浩
常にクール。他の3人のくだらないノリを少し離れた位置から冷めた目で見ている。料理が得意で全員分の食事を作っているが、食べない者には容赦はしない。
彼は、壮絶な過去に苦しめられていた。
瀬戸統
父は大学教授。数学が得意で、勉強はしなくても数学ならできてしまう。ひょうきんな性格で光浩とは折が合わないことも。
彼は幼少期に母親を亡くしている。その死に隠された秘密がある。
集英社文庫 ナツイチ
ネバーランドは、集英社文庫のナツイチ(夏の一冊)にも選ばれています。
フェア参加店で購入すると「よまにゃリバーシブルブックカバー」がもらえるみたいです。ぜひ、店頭で手に取ってみてください。
次回予告
今回、久しぶりに小説の紹介記事を書きました。
楽しかったので近々また小説の紹介記事書きます。
次回は、「おすすめのファンタジー小説」でいこうと思います。
何卒よろしくお願いします。