楽 books -大学生の書評ブログ-

2017年7月から、はてなブログで書評を書き始めました。書評と言っても本の紹介や読書に関する日常程度です。

難しいけど為になる! 『思考の整理学』 外山滋比古 感想と読み方のコツ

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「くよくよすることはないさ。明日の朝、7時には解決しているよ。」

 

 

卒論のお伴にしています

こんにちは。

某試験も落ち着きを見せ、来る9月頭に執り行われる「卒業論文中間発表」なるものに震え上がり夜も眠れない日々を送っております。

 

そして、その最中に読んで「これは賢くなりそう!」と読みふけったのが、

 

『思考の整理学』 外山滋比古(しげひこ)

 

本日はこちらのエッセイの感想・軽い内容・読む上での注意点です。

歯ごたえはありますが、その分きっと御満足いただけると思います。

 

東大・京大で一番読まれた本

 ところで、書店でこの『思考の整理学』を見かけたことはあるでしょうか。

真っ赤な帯でこう書いてあります。

「東大・京大で一番読まれた本」

これはどうやら、東大生協、京大生協で一番売れた本ということのようです。(どの期間にどういった分類分けの中で一位だったのか明記されておらず如何わしいですが)

 

以下、僕の読後の感想です。

たしかに勉強になる!

頭スッキリ、今この瞬間にも新しいすんばらしいアイデアが飛び込んで来るかもしれない。そんな昂揚感に包まれました。

 

しかし、

 

東大生、京大生ならたしかに理解できるだろうし感動すると思う。かといって普通の大学生が読んでもいまいち理解できないんじゃないか?

 

帯をもう一度見てください。「東大・京大で一番読まれた本」です。

これを読んだからと言って彼らのような秀才になれるとは一言も書いていません。

むしろ、「東大・京大だから読める本」のほうが正しいだろうなあというのが率直な感想です。(ちなみに僕の学力は彼らには遠く及びません)

 

今回このエッセイを紹介しようと思った理由は二つ

・このブログを読んでくださっている熱心で物好きな読書家さんならば、東大生に引けをとらない読解力で『思考の整理学』を味わい尽くしてくれると思ったから。

 

・実は僕は『思考の整理学』を読む前に外山さんの他の論文(ほぼエッセイ)を読んでいて、その知識がかなり読解の助けになったので紹介したかったから。

 

です。

 

興味ある方、ぜひぜひ最後までお付き合いください。

 

内容をざざっと

本書は33のエッセイがⅠ~Ⅵ章に分類されています。

 

Ⅰ:グライダー人間と飛行機人間

Ⅱ:発想の育て方

Ⅲ:インプットの仕方

Ⅳ:考えを整理する(忘れる)

Ⅴ:分野を超える

Ⅵ:思考のあれこれ

 

章ごとの見出しは僕が勝手につけました。

Ⅰのグライダー人間について補足。

グライダーとは、コナンの怪盗キッドが乗ってるあれですね。エンジンなどはついておらず、風に乗って(流されて)飛びます。

外山さんは、学校はグライダー人間養成所だと言います。つまり自力では飛べない(何もできない)人たち。

確かに、学校の勉強を完璧に覚えていても、そこから新たなものを生み出す力が無ければ意味はない。第一AI(人工知能)にぼろ負けします。

僕はあくまでも、学力が高い人たちは忍耐力や頭の回転の速さ、発想力や効率の良さといった点でも多くの優れた点を持っていると思います。学力がすべてではないのはもちろんだけど、学力のある人がだいたいすごい人であることも事実です。

 

Ⅱ章はどんなときにアイデアが進展するか。僕が好きなのは「寝させる」というエッセイで紹介されている

いや、くよくよすることはないさ。明日の朝、7時には解決しているよ。

という言葉。確かに、夜中考えて考えて全然わからなかったことが、朝起きてみると

「あれっ?なんだ簡単じゃないか」

となることってよくある気がします。

僕の場合は、毎朝30分、河川敷をランニングしているのですが、その時が一番「頭スッキリ!アイデアぽんぽん!」タイムですね。

 

個人的にはⅣが面白かった。たしかに、学校では知識をどんどん教えるけど、学んだことをどう整理していくかは教えてくれません。

大事なのは「忘れる」です。

東大生・京大生はじめ、頭のいい人はそれが自然にできる。大切なことを整理しながら勉強できているんだと思います。

いろんな頭のいい人と出会ってきましたが、そういう人の中にはガリ勉タイプはあまりいません。その代わり覚えたことを他のことと結び付けたり、順序立てるのがはやい。忘れることも含め整理の力は偉大です。

 

キーワードは「距離感」

 僕が『思考の整理学』を抵抗なく読めたのは「異本論」という外山さんの文章をたまたま事前に読んでいたからです。

 外国文学、例えばミッチェルの名作『風と共に去りぬ』を研究するとしましょう。そのとき、『風と共に去りぬ』の本場、アメリカでは原典の細かい表現を取り上げて考察します。

 そのときに、日本人がアメリカ人の真似をして原典を研究対象にするのは無謀だと「異本論」では主張する。日本人はせっかく原典から離れた言語、文化で観察できるのだからそれを活かさない手はない。と。

 

 考えてみてください。日本文学について研究するとき、日本人と留学生だったら、日本人の研究のほうがレベルは高くなるはずです。(留学生は言語と文化の壁を乗り越えるのにエネルギーを使いすぎる)

 でも、日本文学が海外でどう翻訳されてその国の文化とどう結びついたか、これをテーマにされたらこちらは手も足も出ません。

 

外山さんは「距離感」について繊細な感覚を持っていたんだと思います。

ただ近づこうとすればいいってもんじゃない

 

これをキーワードに『思考の整理学』を見直してみましょう。

 

「時間を置く」「忘れる」「分野の垣根を超える」「頭の中だけでなく現実を交えて考える」どれも「距離感」がキーワードですよね?

 

外山さんは『思考の整理学』を通し、

そんなに進もうとしなくても、立ち止まって周りを見渡してみたら、案外おもろいヒントはたくさん落ちてるよ

と教えてくれているのだと思います。

明日の朝起きたら卒論完成してないかなあ笑

 

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)