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本と時々デザインのこと

伊坂幸太郎『バイバイ・ブラックバード』 紹介、感想

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どうしてそうなる

 

久しぶりに書評

気づいてしまいました。

 

最近全然ちゃんとした書評書いてない。

 

まあその緩さがこのブログの特徴でもありますが、いい加減修正していかないとそのまま闇を彷徨うことになってしまいます。

 

ちなみに闇を彷徨っている間なにをしていたかというと、スマホ版のデザインをカスタマイズしておりまして、

昨日金曜日だったのに書評を書かなかったのは、デザインがめちゃめちゃで記事を上げている場合ではなかったからです。

スマホで見て頂いている方はわかるかと思いますが、ひとまずそれらしくまとまりました。まだ完成していませんが、満足いく形になったらデザイン作成のため参考にした記事をまとめようかと思っています(需要があるかわからんけど)

 

『バイバイ・ブラックバード』伊坂幸太郎

バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)

バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)

 

さて、早速本の紹介。

今日は、伊坂幸太郎さんの作品です。

 

伊坂幸太郎の作品はハードボイルドと称されることも多いです。

渋くてかっこいいんですよ。登場人物のセリフや、地の文での短く切れ味の良い格言が読者の胸を熱くします。

 

しかしそれとは別に、僕は伊坂作品を読んでいていつも思うことがあります。

 

どうしてそうなるっ!

 

です。

 

伊坂作品は毎回毎回、設定がどこかおかしい。

伊坂幸太郎さん自身も「現実から2cm浮いた物語」と言っていますが、ファンタジーやSFのようにハッキリと現実離れしているわけではないのに、なにかがおかしい。

だから僕は毎回、作品を読みながら、

 

どうしてそうなるっ!

 

とツッコミを入れながら読むようにしています。

 

設定

では、今回紹介する『バイバイ・ブラックバード』の設定はいかがなものでしょう。

 

1 主人公は何かに追われている

物語は、主人公が何かに追われているところから始まります。何に追われているのか、それはわかりません。物語を読み進めるうちにわかるのか、わからないのか。

まあこの辺りまではよくある設定ですね。

 

2 主人公は見張られている

先ほど「追われている」と表現しましたが、実際にはもう身柄を拘束されています。2ヶ月後に恐ろしい場所へ連れていかれるらしい。恐ろしい場所とは一体。

そして、主人公には2ヶ月の間見張りが付きます。繭美という女性です。

 

ただし、

 

繭美は身長190cm 体重200kgの超巨漢です。

しかも、繭美は常に辞書を持ち歩いていて、その辞書はところどころ塗りつぶされている。

「見てみろ、私の辞書に『謝罪』の文字はないんだよ。」

 

...は?

どうしてそうなる...。

 

3 主人公は交際している女性に別れを告げにいく

これは分かりますね。

主人公は2ヶ月後、闇の世界へと連れていかれる。それまでに交際している女性に別れを告げたい、当然です。

事情は伏せつつ相手に諦めさせるため、繭美と結婚することになったので君とは別れる、と言うのです。繭美の容貌を見れば少々無理がありますが、まだ分かる。

 

ここからどんなドラマがあるのか。

 

なんと、

 

主人公は五股をかけていたのです。

 

...は?

 

要するに、主人公は繭美を連れて五人の交際相手のもとを回ります。どんな設定だよ。

 

 太宰治『グッドバイ』

『バイバイ・ブラックバード』は太宰治の絶筆作品『グッドバイ』を踏襲した作品です。

実は『グッドバイ』も、多くの女性と同時に交際していた男が、関係の整理をするためにそれぞれの女性のもとに別れを告げに行く物語です。その際、男に女性が同行するのですが、『グッドバイ』の場合は絶世の美女が同行します。その点でも、伊坂幸太郎はなぜ繭美のようなモンスターを作り出したのか、謎が深まります。

 

ともかく、太宰治×伊坂幸太郎です。かっこいいに決まっている。それはそれはかっこいいのです。読まなきゃ損なのです。以上。