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本と時々デザインのこと

装丁は装丁家に聞こう 『本の顔』 坂川栄治+坂川事務所

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装丁って奥が深い

 

アイキャッチのデザイン変えます

今日で、ブログを始めて3か月と一日になります!めでたい!

そして、読者様ももう少しで100人に到達します!すごい!

100人になったらみんなでパーティーしましょうね。

 

さて、アイキャッチ画像(記事の最初の画像)ですが、今までは統一感のある形でやってきました。

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みなさんからの、「いい!」「お洒落」「どうやって作ってるの?」等好意的なコメントを肆(ほしいまま)にし、このブログの根底を担ってきた画像たちですが、マンネリ化は避けたい(飽きてきた)ということで統一するのをやめることにしました。

 

あくまでも統一するのをやめるだけなので、また似たようなデザインの画像も作ると思います。ちなみに、作り方は簡単で7秒くらいあればできます。

 

ブログをやっていて思うんですが、

単純に面白さを求めるとなると、下手に縛りは作らない方がいい。

例えばこのブログも書評ブログといって始めましたが、「別に真面目な書評書く必要もないか」と割り切ったとたんに書くのが楽しくなりました。

アイキャッチも、最初はすごく気に入っていたし今でも気に入っていますが、デザインする行為が作業化してきて、面白くなくなってきたな、と感じたのでそのあたりの縛りも解除しました。

 

装丁は装丁家に学ぼう

アイキャッチのデザインを毎回変更しようと思ったのは、もう一つ理由があります。ある本を読んだからです。

『本の顔』 坂川栄治+坂川事務所

本の顔 本をつくるときに装丁家が考えること

本の顔 本をつくるときに装丁家が考えること

 

みなさん、そもそも「装丁家」ってご存知ですか?

装丁とは、本の表紙や中身のデザインのことです。その仕事は想像以上に緻密で奥が深くて、表紙だけでなく、文字のフォントや大きさ、行と行の間隔まで事細かに気を配っています。

ちなみに坂川さんは、これまでとんでもない量の出版物の装丁を手がけています。

 

以前このブログでも、装丁が好きな本を一部紹介しました。本のデザインを見るのが好きで、デザインが好み、という理由だけで読んだ本も多々あります。

そうやって装丁家に対する夢を持っていた僕ですが、この『本の顔』を読んで、そんな気楽で楽しい世界ではないな、と痛感しました。

 

好きなデザインでは売れない

最初に印象的だったのはこれですね。

経験を積み時間を経て、今は売ることが一番で、デザインは二番目になりました。肩の力が抜けてようやくプロフェッショナルになった、ということでしょうか。

坂川さんは、「本が売れない時代に、どう本を売るか、そしてどう結果を出すか」を考え仕事にあたっているそうです。

商売ですから、売れなきゃ意味がない。当然のことですが、難しいですね。好きなデザインで本を装っても、売れなきゃ意味がないんです。

 

本ができるまで(簡略版)

打ち合わせ

編集者がゲラを持ってきて、新しい本の内容を説明します。「こんな人に読んでほしい」「これまでの著者の作品は…」などを打ち合わせ、ここでだいたいの方向性は決まってしまうそうです。

 

配役&発注

装丁家は監督です。本の顔である表紙を、どんなイラストや写真に演じさせるかを決めます。決まり次第、イラストや写真の依頼をします。

 

本文レイアウト

ぱらぱらとめくったときの印象もその本を特徴付けます。その本「らしさ」やそのジャンル「らしさ」を演出するのは中面の本文の力です。手に取りやすい、疲れない、伝わりやすい本文組は奥が深い。

 

カバーレイアウト

本の顔の製作です。ラフ案をいくつも作り、編集者に送ります。デザインが決まったら、カバー、帯と表紙、扉と順に作っていきます。予算によって印刷加工の有無が決まります。

 

入稿&完成

入稿し、色や文字の校正を経て、入稿からおよそ1ヶ月後には出来上がった本が書店に並ぶそうです。

 

読みたくなった本

素敵な装丁を見ていたら、読みたい本が増えました。

 

『聖人と悪魔 ー呪われた修道院』 メアリ・ホフマン 

聖人と悪魔―呪われた修道院

聖人と悪魔―呪われた修道院

 

 一目見ただけで引き込まれてしまいそうな、中世ヨーロッパの世界のイラストが誂えられています。一目見ただけで引き込まれました。

絵の具で描かれたように見えますが、全てパソコン上で描かれた絵だそうです。

世界28カ国で翻訳出版されている、修道院を舞台とした長編ミステリー小説。

 

『極北』 マーセル・セロー/村上春樹訳 

極北

極北

 

 編集者から、「寒い」装丁にしてください。と依頼されて作られたのがこの装丁。広々とした雪景色の中に、ごくごく小さい主人公を置くというプランはその場ですぐに決まったそうです。

どれだけ見ても飽きない、白い、美しい装丁です。著者のマーセルさんは、「日本の本はいいね、こんなに贅沢できて」とご満悦だったようです。

 

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

 ノーベル文学賞を受賞して話題となっているカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の装丁も、坂川さんが手掛けています。

表紙全体に大胆に載せられたカセットテープは、小説内に出てくるキーワードのひとつ。坂川さんと、早川書房の編集者の遊び心によって生まれた装丁です。


まとめ

やっぱり装丁っていいですね。

これからも装丁に惹かれるままに耽読していきます。

みなさんの、装丁が好きな本もコメント欄で教えてください。