raku books

本と時々デザインのこと

『カラフル』森絵都

f:id:raku-book:20170812233223j:plain

「少年」「天使」「葛藤」

 

 感想を語り合いたい!

 

森絵都さんの作品を読むのは2作目です。

 

今回紹介する不朽の名作『カラフル』と

先日本屋大賞でも2位に輝いた『みかづき

 

僕の個人的な感覚ですが、森絵都さんの作品は読んでいる最中に

 

「おおっ」

 

となることよりも、

 

読んだあとに

 

「うおおおお、誰かと語りてえ!」

 

という衝動に駆り立てられる人の人のほうが多い気がします。

 

かくいう僕も、『カラフル』の魔法にかかり、「読後感想語りたい病」の患者です。

 

 

 作品について

 

冒頭、かわいらしいイラスト(バイトの合間に描きました)と「少年」「天使」「葛藤」というキーワードを紹介しました。

未読の方もイラストとキーワードを見れば内容が丸わかりですね。

 

しかし、今回僕が語りたいのは読後の感想です。本の内容ではありません。従ってせっかく描いた上のイラストも特に意味はありません。絵の原本はすでに丸めて捨てました。

 

ほんの少しだけ内容に触れると、前世で悪いことをした主人公の魂が、その悪事を見つめ反省するため、現世の人間の魂にとって代わって2度目の人生をスタートさせるという話。「少年」「天使」「葛藤」です。

 

 感想

 

僕の中学時代といえば、汗と泥にまみれ、毎日遅くまで奇声を発しながら走り回った野球部がおおむね全ての記憶を占めています。

グランドに出没した蛇を捕まえてはぐるぐるしたり、塀を乗り越え隣の高校に潜入し、ダンス部の練習風景を眺める。崇高な時間でした。

野球部とは関係ありませんが、クラスの女の子に余計なことを言って、副担任の先生に張り倒されたことも忘れてはいけません。もしあそこで先生が張り倒してくれていなかったら、僕は今頃ろくな人間ではなかったことでしょう。

 

さて、『カラフル』をお読みになった方はわかると思いますが

上記の話は本編とは一切関係ありません。

 

ですが、作品を読んでいて、自分の中学時代をえぐりだすように思い出した方も少なくないはず。

 

今思うと何が面白いのかわからないようなことで三日三晩興奮したり、痛くも痒くもないようなことでこの世の終わりかのように落ち込んだり。

ある意味中学生はエネルギーの塊でした。

 

タイトルにもなっている「カラフル」の意味。

読者ごとに解釈の分かれそうな点ですが、僕は、人間一人ひとりがまっさらなキャンバスに、色とりどりの絵を描いていく、そこに人生を重ね合わせている気がします。

 

どんな色に染まっていても、その気になればいつでも違う色を塗ることができる。たとえおかしな配色でも、いびつな形をしていても、「カラフル」であることは悪くない。

 

中学時代の思い出に耽っていましたが、あのころはあのころで、毎日必死に絵の具を持って絵を塗りたくっていました。

今もそれは変わらない。好きな色合いが変わって、少しは器用に描けるようになったけど。

そして今の自分も、何年か先の自分が見たら「なにやってるんだ」って笑いそうです。

 

自分自身が毎日を「カラフル」に彩っていること。そして、どんな色に塗りたいかは自分の好きに考えればよいこと。それらを考えさせてくれる。更には自分の幼いころを苦々しく思い出させてくれる、そんな一冊です。

 

気になった方はぜひ。

 

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)